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iOS 18.4のアップデートでAdAttributionKitが進化

Team InMobi
Team InMobi
5 min read
Posted on July 15, 2025
iOS 18.4のアップデートでAdAttributionKitが進化

WWDC 2025において、AppleはAdAttributionKit(AAK)の次なるアップグレードを発表し、プライバシー配慮を最優先とする世界において、iOSのマーケティング担当者がパフォーマンスを計測するためのツールをさらに充実させました。iOS 18.4でリリースされるこれらのアップデートには、重複するコンバージョンの計測、カスタマイズ可能なアトリビューションルールとクールダウン期間の設定、国別のポストバックデータの追加、そしてテスト機能の改善などが含まれています。

iOS 17.4でSKAdNetwork 4.0(SKAN 4.0)の後継として発表されて以来、AAKは着実に進化してきました。今回は特に、リエンゲージメントの計測機能が追加されたことが注目されています。今回のリリースにより、AppleはiOSアプリのマーケティング担当者にとってSKAN導入の障害となっていた多くの課題を解消しています。

とはいえ、柔軟性が増すということは、より複雑になるということでもあります。これらの機能の活用には熟考を重ねた設定が必要となるため、適切なパートナーが不可欠になるでしょう。アトリビューション設定の調整から重複コンバージョンの解釈まで、AAKの機能に適応することが、その可能性を最大限に引き出す鍵となります。

本題に入る前に、SKAdNetworkでのアトリビューションの仕組みを簡単におさらいしましょう。

SKAdNetwork(SKAN)は、デバイス識別子に依存することなく限定的なポストバックデータを送信することで、プライバシーに配慮したアトリビューションを可能にしていました。一般的なSKANのフローでは、ユーザーはネットワークによって配信された広告を閲覧・タップし、その後アプリをインストールします。その際、SKANは匿名化されたキャンペーンおよびコンバージョンデータを含むポストバックを発火させます。SKAN 4.0では複数のポストバックや粗いコンバージョン値といった改善が加えられましたが、リエンゲージメントのトラッキング、コンバージョン期間の設定、位置情報のような詳細なインサイトへのアクセスといった面では、依然として柔軟性に欠けていました。


出典:Apple WWDC 2025

しかし今回のAAKアップデートにより、これらの障壁は取り払われつつあります。何が変わったのか、そしてAppleの進化するプライバシーフレームワークが広告主にとって何を意味するのか、ご紹介しましょう。

ゲームチェンジャーとなる5つの重要なアップデート

重複コンバージョンのスマートなリエンゲージメント計測 

iOS 18.4のAAKで最もインパクトのある変更の1つは、重複するリエンゲージメント・コンバージョン期間のサポートです。パフォーマンスマーケターにとって、より正確なアトリビューション(効果計測)を可能にする大きな進化だと言えるでしょう。

従来は、アプリで同時に計測できるリエンゲージメント・コンバージョンは1件のみでした。しかし今回のアップデートにより、複数のリエンゲージメントキャンペーンを同時に実施できるようになり、それぞれを別のコンバージョン経路に紐づけることが可能になりました。Appleはこれを「コンバージョンタグ」を通じて実現しています。これらのタグはブックマークのような役割を果たし、ユーザーが複数の広告に接触した場合でも、適切なコンバージョン情報を識別・更新することができます。

この機能を有効にするには、開発者がアプリの”Info.plist”ファイルにおいて、”EligibleForAdAttributionKitOverlappingConversions”キーを”YES”に設定する必要があります。オプトインが完了すると、リエンゲージメント用のURLにコンバージョンタグが付与されます。これらのタグは抽出してローカルまたはサーバー側に保存することができ、後にPostback APIを使用して該当するコンバージョンを直接更新する際に利用されます。これにより、正しいキャンペーンに成果を帰属させることが可能となります。


出典:Apple WWDC 2025

広告主にとっての意味 

広告主にとって、この「重複するリエンゲージメントの計測」は、アトリビューション精度の向上と、マルチタッチジャーニー(複数広告接触)の可視化につながります。ユーザーが複数のキャンペーンに接触していても、どの広告が具体的な行動に結びついたかを把握できるようになります。これにより正確なROI計測とよりスマートな最適化が可能になり、アトリビューションの明確性を損なうことなく、複数プロモーションの同時実施が可能になります。 

カスタマイズ可能なアトリビューション期間で柔軟な計測に対応 

アトリビューションは、もはや「一律対応」である必要はなくなりました。Appleは広告ネットワークやインタラクションタイプごとに、広告がコンバージョン対象となる期間(ウィンドウ)をカスタマイズできる機能を提供するようになりました。さらに、”ignoreInteractionType”キーを使用することで、特定のネットワークにおいて特定のインタラクションタイプを除外することも可能です。また、キャンペーン全体に精密に適用できるグローバルルールを設定することもできます。

広告主にとっての意味 

この柔軟性の向上により、アトリビューションロジックを実際のユーザー行動により近づけることができます。たとえば「即日購入」といった短期の行動や、「検討期間を経た意思決定」など長期の行動にも対応できます。その結果シグナルの質が向上し、実際のパフォーマンスを反映した有意義なインサイトが得られます。InMobiでは、グローバルなベンチマークに基づき、7日間のクリックスルーと1日間のビュースルーウィンドウを推奨しています。この設定は、ユーザーの意図の捕捉と計測精度のバランスを取る上で有効であることがとされています。

ダブルカウントを防ぐアトリビューション・クールダウンの設定機能 

iOSにおけるアトリビューションの最大の課題の1つが、コンバージョンの重複です。特に、リターゲティング広告がすでに他のキャンペーンによって影響を受けたコンバージョンに対して成果を主張してしまうケースが課題でした。たとえば、ユーザーが広告をタップしてアプリをインストールした後、実際に購入をする前に、別のリエンゲージメント広告をクリックしたとします。明確な制御がないと、アトリビューションが後者のタッチポイントに不当に移り、本来のキャンペーン成果が歪められてしまう可能性があります。

iOS 18.4では、この問題に対して「クールダウン期間」を設定できるようになりました。これは、コンバージョンイベント(インストールやリエンゲージメントなど)の後に一時的にアトリビューションを停止させる期間を設ける機能です。これにより、ユーザー獲得とリエンゲージメントの成果が重複してカウントされることを防ぐことができます。

広告主にとっての意味 

アトリビューションのノイズを最小限に抑え、ユーザーの意思決定に影響を与えた本来の広告接点に正当な評価を与えることで、クールダウン機能は「本当に成果を生み出しているのは何か」をより明確に可視化できるようになります。SKAN対応DSPのリーディングカンパニーであるInMobiは、このアップデートを最大限に活用できるよう、適切な設定、重複の回避、ユーザージャーニー全体を通じた成果データの整合性の維持をサポートします。

地理情報を活用したスマートな最適化 

これまでAdAttributionKitのポストバック(アトリビューションおよびエンゲージメントデータを含むコンバージョン結果の通知)には、地理情報が一切含まれていなかったため、広告ネットワークや開発者はソースIDのような代替手段に頼らざるを得ませんでした。しかしiOS 18.4では国コードが追加され、プライバシーを損なうことなく、広告主により明確な地理的コンテキストを提供できるようになりました。国の判定はApp Storeのストアフロント情報、またはインストールトークンによって行われ、Appleの匿名性の基準を満たした場合に限り提供されます。

広告主にとっての意味

地理レベルでの可視性向上により、地域に応じたクリエイティブのローカライズ、地域別の予算管理、市場ごとのパフォーマンス評価など、より的確な意思決定が可能になります。さらに、これまで国別トラッキングに使用されていたソースIDは他の用途に活用できるようになります。InMobiは、こうした新たなシグナルをよりスマートなターゲティングや国境を越えたレポーティングに活かすお手伝いをします。 

開発者向けのテスト機能がついに登場 

iOS 18.4では、設定画面から直接開発者用のポストバックを生成できる機能が標準搭載され、これまでSKANの導入で課題となっていた煩雑なテスト工程が解消されました。テストシナリオをデバイス上で設定し、データ粒度や署名キーを調整することで、容易に識別・検証が可能になります。


出典:Apple WWDC 2025

Safariにおけるフィンガープリント対策の強化

WWDC 2025ではAdAttributionKitに注目が集まりましたが、AppleはSafari 26においてもブラウザのフィンガープリンティングに対するスタンスを大幅に強化するという、静かですが重要な変化も発表されました。これらのアップデートは、広告主や分析プラットフォームが長年依存してきたウェブベースのトラッキング手法を排除することを目的としています。

Safariは今後、画面サイズ、Canvas API、音声合成といった複数のフィンガープリント用インターフェースへのアクセスをブロックするようになります。さらに、CookieやlocalStorageのような永続的なストレージ手法も無効化され、クリックトラッキング用パラメータ(例:gclid、fbclid)もURLから除去されるようになります。これらの制限はプライベートブラウジングモードに限らず、通常のモードにも適用されます。

広告主にとっての意味

ランディングページやディファードディープリンクなど、ウェブからアプリへの導線(web-to-appフロー)に依存しているマーケティング担当者にとって、これらの対策は、SKANやディープリンクによるマッチングが適切に行われない限り、ユーザーを決定論的に属性付けする能力を大きく制限するものとなります。また、SKANが機能しない場合やサポート外の場合に一部のアトリビューションプロバイダーが使用していた代替手法であるフォールバックフィンガープリントも制限されます。Appleのメッセージは明確です。ウェブベースの識別手法は廃止され、プライバシーに配慮したプラットフォームネイティブのアトリビューションへと移行していくということです。

御社の成長戦略は、プライバシー重視のアトリビューション時代に対応できていますか?

Appleは長年求められていたコントロール機能を広告主に提供し始めています。明確性、柔軟性、国レベルでのインサイト、そしてブラウザーフィンガープリント保護のさらなる強化など、AdAttributionKitとSafari 26のアップデートは大きな転換点を示しています。これは単なる進化ではなく、エコシステム全体の再定義と言えるでしょう。

この新しい環境で成功を収めるには、理解するだけでなく、それに対応できるパートナーが必要です。InMobiは、SKANに特化したパフォーマンス戦略のパイオニアとして、業界初のSKANビッダーを構築し、主要MMPとの深い統合を行い、プライバシーに配慮したコンテキストシグナルに基づいたインテリジェンスを構築してきました。

Safariのフィンガープリント対策強化は、決定論的なウェブ識別子廃止の流れを裏付けるものであり、計測手法もそれに進化する必要があります。InMobiは、プライバシーに準拠したモデリング、決定論的SKANロジック、コンテキスト最適化に投資することで、キャンペーンの計測可能性、スケーラビリティ、そして将来性を確保しています。

インフラは整っています。チャンスは現実のものです。InMobi DSPを活用すれば、あなたのグロースエンジンはすでに未来に対応しています。

SKANについてさらに詳しく知りたい方は、InMobiの専門家によるガイド、ケーススタディ、業界の知見をまとめたライブラリをご覧ください。SKANの複雑さを理解し、プライバシー重視の世界で成果を出すためのお手伝いをいたします。導入初期からスケール段階まで、iOSマーケティングのあらゆるステップをサポートするリソースをご活用ください:

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